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武津 裕介
Yusuke Taketsu, CFA

東京海上アセットマネジメント 株式運用部 グローバル株式運用グループ アナリスト

Q1: 現在のお仕事内容を教えてください。

A1: グローバル株式のアナリスト業務です。主に米欧ITセクターを担当しており、対象企業のファンダメンタル分析を通じて、自社運用の外国株アクティブファンドのファンドマネージャーへ売買推奨を行っています。その他には、海外拠点で運用を行っている公募ファンドの為替取引等のリエゾンや、グローバル株式の運用ストラテジー構築・ESG分析等も並行して行っております。
 

Q2: CFAを受験しようと思ったきっかけは何ですか?

A2: キャリアアップ及び専門性の深堀を図るためです。カリキュラムで修得する知識は国際標準として認められていること、及び会社によってはレベル合格でも評価対象になることなどを知り、難易度は高いながらもチャレンジを決意しました。
 

Q3: CFAを取得したのは何歳の時、社会人何年目でしたか? 

A3: 社会人10年目34歳の時です。2020年12月試験に合格し取得しました。
 

Q4: CFA資格を始める前に、財務、金融、数学の知識はどの程度持っていましたか?

A4: 財務、金融に関しては、新卒で証券会社に入社し、AFP(ファイナンシャルプランナー)、CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)資格を取得致しました。その後、CFA資格へチャレンジしました。数学力は、大学で工学部出身だったこともあり、理系大学卒程度でした。
 

Q5: 家庭、仕事、プライベートの中でCFA資格への勉強をどのように進めましたか? どんな方法や工夫をしましたか?

A5: 資格取得までは独身でしたので、プライベートに関しては比較的容易に調整できました。一方仕事は繁閑の差が大きく、繁忙期は平日ほとんど勉強する時間が取れないため、両立に苦労しました。そこで心掛けたことは、「5分だけでいいので必ず毎日勉強する時間を取る」です。これは時間捻出の工夫と心構えです。CFAは試験範囲が膨大でかつ準備が数か月にわたる長期戦であるため、日々の勉強を習慣化しなければすぐについていけなくなると判断しました。多忙な日は、本当にノートを見返すだけの5分の勉強だけだった日もあります。しかし日々の細かな時間捻出を毎日繰り返した結果、多忙な中でも試験合格にたどり着けるレベルまで到達することが出来ました。
 

Q6: CFAを取得して何か変わったことはありましたか?

A6: 金融市場を多角的な視点で見ることが出来るようになったと感じます。これまで株式分析を中心とした実務経験を積んできた一方、他の分野に関しては、どこか「専門外」という意識がありました。しかしCFAを通して他分野の実用的な専門知識を幅広く学ぶうちに、金融市場における各分野の有機的な結びつきへの理解が深まり、大局的な視点で物事を捉えられるようになりました。企業分析実務では様々な観点からの洞察が必要となるため、実務能力向上にも繋がっていると思います。 加えてタフな試験を乗り越えたことによる自分に対する自信も身につきました。CFA取得は人生における大きな成功体験として自分の中の財産になっています。
 

Q7: CFAはキャリア・デベロップメントに役に立つと思いますか?

A7: 職種によって差はあるかと思いますが、全般的に役に立つと考えています。私は転職によるキャリア・デベロップメントを実現しました。他にもCFA取得を通じて社内での昇進や海外赴任等に繋がった方の話をよく耳にします。以下個人的な考察ですが、元々CFAカリキュラムはある程度実務経験を積んだ社会人向けの資格(最近は学生にも門戸が開かれつつありますが)であり、 “実務に即したファイナンス知見の修得“を重視しています。そのため、試験範囲は最新動向を取り入れるため毎年のように変更される傾向にあります。ただその分、CFAで学んだ知見は実務に活かしやすく、良質なアウトプットに繋がるケースが増加すると考えられ、結果としてキャリア・デベロップメントに効くと分析しています。
 

Q8: CFAは今の仕事や人脈づくりに役立っていますか?

A8: 双方役に立っています。外国株運用業務なので、仕事全般CFAで得た知識を存分に活用しています。また私は仕事の傍ら、CFA協会主催のボランティア活動に複数携わっております。その中で、様々なCandidateやholderとコミュニケーションを取り、効率的だった勉強方法や取得後の活かし方など、貴重なお話を聞ける機会を頂いております。いずれもCFA資格取得の恩恵であると考えています。
 

Q9: CFA資格を取得後、個人資産運用またはプライベート財務貯蓄にどのように役立っていますか?

A9: CFAカリキュラムには、「Private Wealth Management」として、個人の資産運用設計が含まれています。多種多様な事情のある個人資産家のIPS(Investment Policy Statement)作成が課題になるのですが、勉強を進める中で当然、自分の年齢・保有資産・ライフステージにおける適切な資産運用設計にも関心が向きます。プライベート財務貯蓄に関してはアナリストとしての仕事柄、個別株による運用に制限が付くものの、NISAでの投資信託運用や確定拠出年金の運用など、CFA資格で得た知見を自身の個人資産運用にも役立てています。
 

Q10: これからCFA受験を目指そうと考えている方にエールを送っていただけますか?

A10: 世界は今、高度にテクノロジーが進歩し、かつてないほどに変容のスピードが上がっています。ファイナンスの世界も追随して技術進歩を続けていますが、不確実性が複利的に増大していく世界の中で、正しく事業価値、投資価値を評価することは容易ではありません。しかし、その中でも効果的な意思決定をしていかなければ、顧客に対して有意な付加価値を提供することは出来ません。CFAカリキュラムで身に着けることが出来る“ファイナンス力”は確実にビジネスパーソンとしての地力を上げてくれると思います。私はCFA資格を「複雑怪奇な金融市場を理解するための頼もしいパートナー」と捉えています。ハードルは決して低くありませんが、取り組みがいのある資格です。是非チャレンジして頂きたいと思います。

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